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あびたしおん

あびたしおん

Kiss Kiss Kiss[2007.12.14]


劇団BLUESTAXI vol.15『Kiss Kiss Kiss』
作・演出:青田ひでき
出演:足達洋介、甘城美典、佐古井隆之、立辺孝、御館田朋佳、山崎真宏 ※全て「劇団BLUESTAXI」所属
会場:シアターブラッツ(厚生年金会館向かい)
日時:12/13~16


1年ぶりの劇団BLUESTAXI観劇。
前回と違って今回は劇団メンバーonlyのステージという事で、知っている顔ぶればかりという事でワクワク・ドキドキ。
と言っても、この劇団を観るのは2回目なのだけれど^_^;

「Kiss」にまつわる4つの物語をポエトリーリーディングで演じられるステージでした。
”ポエトリーリーディング”とは...いわゆる”詩の朗読”とのこと。
そのような舞台を見た事が無かったのでなんとなくイメージしていたのは、演技をしながら会話が朗読ちっくに進む感じ?
...って、ミュージカルとの違いって何?
などと勘違いな想像をしていた私(爆)


いざ舞台が始まると、黒いスーツに身を包んだ方が登場してスポットライトを浴びて詩を朗読始め...【第一話 シグナル】の始まりでした。

自宅でパソコンで仕事を続ける夫。
妻が話掛けても全く反応しない夫。
妻がリビングで缶ビールを飲もうとすると、部屋が臭くなると怒る夫。

妻「何か話そう?」
夫「何を話せばいいんだ?」

ほんの一言二言を、すぐ目の前にいるのに携帯電話とパソコンのメールで言葉を交わす2人。
あまりにも夫が構ってくれないから友達に電話をして外出しようと妻に「男か?」とポツリ呟く夫!

夫婦であって夫婦では無い二人...
自分が稼いでいる事で生活が成り立っている事、
外では良き理解者、良き夫を”演じているじゃないか”とサラリと言う始末。
その反面。
妻は夫を理解したいし、時にはぶつかってケンカしても、それが絆を強くする事になるじゃないの!
と熱く語る...が全く耳を傾けない夫。

夫が「別れるのか?」と聞いたが「絶対あなたと別れないから!」と即答する妻。
一緒に生活していても温かさを感じる事が出来ない家庭なのに何故そこまで言うの?
と思っていたら...

「あなたは可愛そうだから。そんなあなたを変えることが出来なかったのは私のせいだから...」と妻。
そんな妻を不思議そうに見つめる夫。
そして...「Kissして!」と妻が夫に言ってソファーの隣に座るが「何で?」と理解出来ない様子。
妻は単に素直に夫からの愛情を感じたかっただけなのだが。

そしてステージが暗くなり...end。


夫婦って何?
絆って何?
一緒に暮らす事って何?
と頭の中がグルグル重く回ってしまった。
その間、しばし音楽が流れつつ真っ暗な時間が続き【第二話 ファースト・キス】のスタート。


誕生日なのに1人自宅で菓子パンを齧る女性が1人。
そこへ ピンポーン♪
宅配か何かと思いきや勝手に入室してきたのは...スーツ姿の冴えない男性が1人。

(文章なのでイメージを説明すると
→背が高く青白く。ヒョロッと細い身体には、ビジネスバックを片から斜め掛けしている)

「プレゼントをお届けに参りました!」
「プレゼント...何処?」
「...はい。私です!」

目が点になる女性、そりゃそうだ!!(爆)

「○○さん(忘れてしまいました^_^;)からご依頼されたのです」と男性が取り出したカードを見たら、その正体が判明!

1人寂しい誕生日に”出張ホスト”をプレゼント だって~!!
どおりで床に片膝ついて話すわけだ...って、全然似合ってないし、そのポーズ。
源氏名を語ったけど、何だったっけな?
全くもってイメージにない華やかな名前だったよな。
そして本名は、田中だったか高橋だったか一般的な普通な名前だった。

流石に怒りまくって、帰って!!と追い出そうとする女性。
狭い部屋でバットをグルグル振り回して追いかけまくる!
が、
その男性への怒りの矛先が”友達だった”○○さんへ向けられる。

自分が好きだった男性を○○さんが奪ったので、無言電話や悪戯メールやデートをつけたり偶然を装ってレストランで隣の席に座ったり...したのだとか。
「そりゃぁ~、嫌がらせさせられますよ!!」と男性が言ったことで我に返る女性。

そして。
始めは気味悪がって帰ってくれと追い払っていたのに、少しづつ話しているうちにそんなに悪い人ではないと感じてきてとりあえず”サービスリスト(紙)”を見せてもらったものの、やはりHな内容らしく信じられない...と怒る女性。
だけど。
指定の2時間、迎えに来るまでの間いないとお金がもらえないとの事だったので女性は「時間まで飲もう!」と提案する。

ホストなんてキャラでなはないのに何故そんな仕事をしているのか訊ねると
数ヶ月前まではサラリーマンをしていたけれど、そこの社長が莫大な借金をして倒産。
その保証人となっているせいでお金を借りてしまって、その返済の為にこの仕事を勧められた...との事。

しかも、この仕事をしても、男性の懐にお給金が入る事はないらしい。
「嫌だけれど仕方が無い、不幸も麻痺して分からなくなってしまいました」とポツリつぶやく男性。

「そんなのありえない、ココから逃げてやりなおしたほうがいいよ!」と女性が勧めても拒む男性。

そして女性が「今日をキッカケに夢に向かって仕事を辞める!」と言う。
その夢とは...翻訳家。
男性に夢は無いのかと訊ねたら、動物園の飼育係だと言う。

それと同時に、部屋の片隅に飾っていた「ライオンのぬいぐるみが気になっていたのです~」と抱きかかえ、ライオンの生態を本格的というかマニアックというか...ナヨナヨした雰囲気が一転、とても楽しそうに熱く語りだしたのでした。

そんな様子を見て女性は、逃げる事を熱く勧め「共に(生活を)リセットしよう!やりなおそう!」と同意を求めるが取立て屋からは逃げられないだろう、と端から諦めモードの男性。

そして時間の2時間となったら、ドアを激しく叩く音が...迎えが来た!

「借金は自分が作ったものじゃないのに、それに追われる人生だけでいいの?」

初対面、しかも出張ホストと客(頼んだのは本人では無いが)という出会いだったけれど親身になって”生きること”を心配してくれる女性に心を動かされ逃げて人生をリセットする事を決心する。

でも。
アパートから逃げるには、窓から裏口へ飛び降りるしか無く、それに対しても躊躇していた男性だった。

次第にドアをドンドン叩く音と「早く出てこんかぁ~」という罵声が激しくなる。

「私が引き止めるから早く!」とバットを持ち玄関に向かおうとする女性に
「これ、忘れてました。ココに置きますね」と去り際にテーブルへ小さな小包を置く男性。

それは...
初めてのお客となった彼女が誕生日だったので用意していたプレゼント。
借金返済で四苦八苦している状態だというのに!!

そのさり気無い優しさに心打たれた女性がバットを放り投げて男性に抱きついたら...男性がKissして来ようとしたので「調子に乗るな!」と怒る女性(爆)

でも。
「取立て屋から無事逃げ切って夢を叶えてまた会えたら...Kissしていいですか?」と言う男性に
「...いいよ」と女性。



思ってもいなかった展開が次々と流れる第二話。
第一話と違って笑いっぱなしだったけれど、最後の最後でプレゼントを用意していたというシーンでジーンとしてしまって...ヤバかった!

そうそう。
この第二話の中で登場した詩で印象に残った言葉があります

たらのあさ、ならのよる

始めは何のコトだか分からなかったけれど、○○したら○○なら でした。

朝は○○したらどうなるかな?と前向きでいても夜には○○なら...と後悔の念が強くなるというような内容だったかな。
中身はチョッと思いんだけど、その詩での語呂合わせというか音の流れが何か心地よかったな...



そして【第三話 最後のキス】
始まる前に2つの詩が朗読されました。
2つとも読んだり聞いた事があるものでしたが、真っ暗な会場でスポットライトを浴びた人が淡々と語る声が響き1つ目は「宮沢賢治 ”雨ニモマケズ”」が、2つ目「谷川俊太郎 生きる」は心を打たれました(T^T)


ある男性を見舞いに同僚と後輩(共に男性)が自宅へやって来る。
その男性は交通事故(居眠り運転)に遭ったらしく
まだ膝にはボルトが入っていてリハビリ生活が続いているという。
後輩がお見舞いのバウムクーヘンを渡したら男性が「妻と2人でいただくな!」と言ったら何故か後輩が驚く顔をした?

男性が奥(キッチン?)に居るらしい妻に「コーヒーを早く入れろよ!」と声を掛けに行ったその間。
同僚が後輩に「アノコト、絶対に言うなよ!」と念を押していたので、てっきり長期休養中にプロジェクトから外されたとか何か仕事絡みの事が起こったけれど言えずに内緒にしているのかと思っていたけれど...

コーヒーを煎れたトレーを持ちつつ奥さんがリビングへやってきた。

後輩には妻を紹介した事が無かったよな?と妻を紹介した。
妻は「主人はよくあなたの事を話すんですよ!」などと言い
男性が「お前が想像していたのとどうか?似ているか?」と楽しげに聞く。

ワキアイアイと会話が続いていたのだが後輩が男性に「今度一緒に合コンに行きましょう!」と突然言い出す。
皆が驚き「妻の前でそんなコト言うなよ~!」と焦る男性。
同僚も後輩の発言を撤回しようとするけれど、更に合コンを激しく誘う後輩。
「浮気するのではなく飲み会というなら私は構いませんよ」と妻は言ったが
男性も妻の前で熱くなる後輩にたじろいだその時!
「今まで通りの先輩に戻ってくださいよ...」と後輩がポツリつぶやいた。
「あ...早く足を直さないとな!」と言う男性の言葉を遮るように「そんなコトじゃないんです!!」と後輩。
何がなんだか分からずいたら
「いないじゃないですか...初めっから奥さんなんて。もうココには居ないんですよ!」と怒鳴る勢いで話す後輩!?
「え!?さっき紹介したじゃないか!!」と意味が分からず答える怒りさえ浮かんできた男性に同僚が「今までの会話、全てお前を通して成り立っていたじゃないか?どれも一言も奥さんから言われちゃいないんだよ」と。

「ここで一緒にコーヒー飲んでいたじゃないか!」とコーヒーカップを覗き込んだら...全く減っておらず膝をガックリ落とす男性。

会社がまだ休んだほうが良い...と言っているのは、怪我した足を心配したのではなく、精神的な事を心配していて、その様子を見るために同僚と後輩が訪問したわけでした。

男性が遭った交通事故で奥さんは亡くなっていた。
それを男性(夫)は知らない、いや気が付いていない、奥さんを失ったことを受け入れられないでいたのだ。

それを実感して嘆く男性。
「今も側にいるんだろう?」と涙ながらに「アイツといつどこでKissしたのか思い出せない!!」と天を仰ぐ...

そして「Kissしたいよぉ~」との叫びとともに会場が暗くなり”生きる”の朗読が始まり...


居るのが当たり前と思っている人が突然この世から居なくなる。
当たり前と思って過ごしていた時間が続けられなくなる。
♪何でもないようなコトが幸せだったと思う...♪
とロードの歌詞が過ったのは私だけではないだろうか?

いつもは何でもないKissも1つ1つを大切にしないと...と思ってしまいました(苦笑)



切なく寂しい第三話と自分自身の思いとが交差しているうちに【第四話 99日目】がスタート。

ステージが明るくなったら...何か見た事がある服装の男性が1人?
って、昨年観た「
東京アカイイト(レポ2.に書いたカップル)」に登場していたじゃないですかぁ~(爆)
となるとアノ元気な女性が予告ナシに登場...してきた!!

クリスマスに1人で過ごしていると思ってぇ~と少々酔ったような雰囲気でケーキ片手に陽気&元気に登場!
昨年同様、靴下を脱いでくつろぎモード全開。
勝手にお風呂にまで入ろうとしたり...

大声で騒ぐから困るとしきりに言うけれど聞き耳持たない。
隣が大学受験と知れば壁越しにエールを送る始末(苦笑)

とりあえず飲もう!!となって昨年と同じ展開。
突然訪問した事に文句を言いつつも、長年側に居る同士なので次第に勢いついて”モノマネ大会”を始める。
ま、そのモノマネというのが職場の人達というローカルなんだけど何だか可笑しくて笑っていた矢先。
とある部長の真似をしたら女性のテンションが急に落ち...

結局は女性の独りよがり(勘違い)だったと思われるのだがその部長と不倫の関係になり...そびれたと語りだす。

「飲む約束をしていたのに!」と言うものだから白状させたら昨年と同じ”和民”だった。
それは特別な相手と過ごすクリスマスじゃないぞ...って。

そして恒例(?)の 女性:キーボード担当/男性:ヴォーカル担当 で
プリンセスプリンセスの「M」を熱唱して失恋の痛みを...って、今回は途中で泣き疲れて寝ちゃった女性。

仕方ないので
さっき見ていた映画「ニューシネマパラダイス」の続きを見始める。(舞台上では音声だけが流れている)

ふと起きた女性がその映画のストーリーを男性に聞く。
少年が映画技師と出会う話で、その中にこんな物語があると...

「昔、王が開いたパーティーに美しい女性が集まった。
 ある兵士が王女を見て恋に落ちた。
 でも2人は身分が違いすぎるが兵士は王女を忘れられない。
 王女は兵士の深い思いに
 『100日間の間、昼も夜もバルコニーの下で待っていてくれたら
  あなたのものになります』と。
 兵士はバルコニーの下に飛んでいった。
 2日、10日、20日がたった。
 毎晩王女は窓から見たが兵士は動かない。
 雨の日も風の日も、雪が降っても、嵐が来ても兵士は動かなかった。
 90日が過ぎた頃には、
 兵士は干からびてやつれていたが
 王女はずっと見守っていた。
 だが99日目の夜、兵士はその場から去ってしまった。」

それを聞いた女性は「次の日には2人は結ばれたんでしょ?何で行っちゃうの?」と不思議がる。
男性は「きっと怖かったんだろうと思う。”今が変ること”を拒みたくなる気持ち分かる」と。

そして女性は「今夜、私たちも99日目なんじゃない?」と言い出す。
いっつも一緒に側に居すぎて互いに好きなんだろうけれど、その一言、一線を越えるのが怖い日々が続いている...と感じていたみたい。

「Kissしよう」と女性が言うと「去年と一緒じゃん!」と怒る男性。

「でも今年は酔っていないもん!酔ったフリしていたんだよ!
私だって女...そうでもしないとココに来ること出来ないんだよ!」と。

いつも口うるさく賑やかでサバサバしている人でも
恋に向かうと心細くなり我を保とうと必死になる...そんな表情が切なかった。

そんな様子にとまどった男性は
「この映画、ラストは凄く泣けるんだよ!急に最後だけ見ても分かりにくいかもしれないけど...」
と早送りする。

ある種の告白をしたのにそんな態度...と少し剥れる(ように見えた)女性だったが、
ステージ背後の壁に映し出された「ニューシネマパラダイス」のラスト、
幸せそうなカップルのKissシーンが次々と映し出され...
ソファーに並んで座る二人はKiss。

そしてステージは暗くなっていっき
その映画のKissシーンが延々と映し出され...ちょっと感動。


99日目を超えた2人。
実際にありそうな微妙な関係のカップルだっただけに
何か嬉しくなってしまいました。
だって、
舞台とは言えども”二年越し”のクリスマスの晩(という設定)を観たのだからね。
来年のクリスマス頃の舞台で...また会えるかな?




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